ほたての漁業

ほたて漁業の先駆者

むつ湾には古くからほたて貝が生息し、10年~20年に1度、大発生を繰り返して来ました。
このような自然発生に依存していた時代のむつ湾のほたて貝の生産は、自ずと激しい変動の繰り返しで、この変動をなくし、安定した高度の生産を確保することがほたて漁業に携わる者の長い間の念願でした。

その願いが叶い、今日のように百億円を超える産業にまで発展した裏には、ほたて養殖の研究に心血を注がれた山本護太郎先生、ほたて養殖がまだ雲をつかむような話と思われていた時代にその必要性を訴え、自ら実践してほたて養殖の基礎を築いた豊島友太郎氏、ほたて稚貝の画期的な採取方法を考案した工藤豊作氏等々、多くの先人の苦労と不断の努力があったことを忘れてはなりません。

養殖技術が発達し、種苗の量産化、計画生産が可能となりほたて漁業は飛躍的に発展しましたが、むつ湾のほたて漁業関係者は、ほたて養殖に掛けた先人の意思を引き継ぎ、これからも良質なほたて貝の生産に努めてまいります。

増養殖および出荷

ほたて貝は、4月に採苗器を投入、稚貝を採集しパールネットに収容します。

その後、養殖用は耳づり作業及び丸篭への入替作業を行い、地まき用は年内と翌春に放流し、一定期間海中で増殖させ、養殖します。

出荷は2年目から、半成貝、篭 ・耳づり、地まきの順で行われます。

ほたて貝取扱実績(青森県漁連取扱分)

1. ほたて貝の年度別共販実績

2024年度の共販実績は、数量29,929トン、金額7,913百万円となりました。数量は、慢性的な親貝不足から2年連続の採苗不振であったことに加え高水温の影響でへい死や生育不足等が発生し大幅な減産で終漁。取扱額は、シーズン開始当初から減産が予想されたことにより、ほたて貝全体の単価が高値で推移しました。

数量(単位:t)

2020年度2021年度2022年度2023年度2024年度
4,6494,1983,7253,0551,928
耳づり14,92014,61112,54310,3376,306
地まき1391101809031
半成貝55,95754,13256,09338,59521,664
合計75,66573,05172,54152,07729,929

金額(単位:百万円)

2020年度2021年度2022年度2023年度2024年度
727841923783707
耳づり2,0343,2883,3622,7271,887
地まき322973437
半成貝5,6148,4169,6738,3065,312
合計8,40712,57414,03111,8597,913

2. 2024年度ほたて貝の月別共販実績

篭養殖は4~7月と2~3月、耳づりは5~8月と1~3月、地まきは6~8月に水揚げが多く、
半成貝は4~7月に水揚げされ、全体の水揚げのピークは4~8月に形成されています。

2024年度月別実績(単位:t)

4月5月6月7月8月9月10月11月12月1月2月3月合計
6932444528510570086663071,622
耳づり1351,1971,6242,4306689442831571166,429
地まき2511120000000030
半成貝1,8037,33710,9021,673000000912421,848
合計2,0098,86312,9824,4007731644108923254729,929

 3. 2024年度ほたて貝の組合別共販実績

組合別にみると平内町が全体の約1/3を占めています。
篭養殖は平内町・川内町、耳づりは平内町と横浜町、半成貝は平内町・外ヶ浜・蓬田村・青森市が多く水揚げされています。

2024年度組合別実績(単位:t , %)

組合名数量割合
平内町10,86936.32
外ヶ浜7,22024.12
蓬田村3,23710.82
横浜町2,7539.20
青森市1,5595.21
むつ市1,1453.83
川内町1,0043.35
後潟8682.90
野辺地町8172.73
脇野沢村4541.52
石持30.01
合計29,929100%

ほたて貝の流通経路

入札会で落札され加工されたものは、各市場を経由して流通されるもの、水産会社などを経由して業務用、大口需要向けに流通されるもの、更に一部、海外へ輸出されるものに分かれます。