ほたてのお話

意外と知らない!?
青森ほたてアレコレ

陸奥湾に流れるミネラルたっぷりの水と良質なプランクトンを餌に元気に育つ青森のほたて。『青森といえばほたて!』…そんな方でも、ほたての生態や特徴を知る機会って少ないですよね。ここではそんな青森のほたてについて、あまり知られていないアレやコレをご紹介します。

ほたての名前

和名の由来

ほたて貝は、「帆立貝」「車渠」「海扇」などと書かれて来ました。

ほたて貝の名の起こりは、和漢三才図会(1716年、寺島良安編)にみられるように、「その殻、上の一片は扁くして蓋のごとく、蚶(あかがい)、蛤(はまぐり)の輩と同じからず、大なるもの径1~2尺(30~60cm)、数百群行し、口を開いて一の殻は船のごとく一の殻は帆のごとくにし、風にのって走る。故に帆立蛤と名づく。」によるものでありましょう。

おそらく、昔は、この貝が一片を帆のように立てて海中を走るものと考えられていたのでしょうが、これは、実は誤りです。たしかに、素早い運動はしますが、それは、貝の中に入っている海水を勢いよく吐きだすこと(閉殻筋=貝柱によって殻を閉じる。)によって、その反作用で跳ぶように動くもので、帆を立てて走る云々は当たりません。

学名の由来

学名 「 Patinopecten Yessoensis (JAY)」

1856年にアメリカ人のJAYによって命名されたものですが、その意味するところは「蝦夷産の櫛」で、ほたて貝殻の表面にある条肋を櫛の歯になぞらえたものであります。

ほたての各部の名称と特徴・動き

ほたての貝毒について

陸奥湾のほたて貝には、春~秋季、下痢性の貝毒が蓄積されることがあります。これは、貝類の餌となっているプランクトンが原因とされていますが、主に、ほたて貝の中腸腺(上図参照)に蓄積されることから、中腸腺(ウロ)を除去すれば安全です。

ほたての成長

年ごとの成長過程

ほたて貝の成長(年令と殻長)は、1年でおよそ6cmまで成長し、その後は2年で10cm3年で12cm4年で13cmといったように、徐々にゆるやかな成長となります。(図参照)

※ 年令……産卵後からの満年齢

産卵から成貝まで

ほたての産卵後は、

  • 浮遊幼生(100~280ミクロン)
  • 付着稚貝(0.3~10ミリ)
  • 落下期稚貝(8~10ミリ)
  • 稚貝(種苗)(約3センチ)
  • 稚貝・種苗(約6センチ)
  • 新貝(約7.5センチ~13センチ)

の課程を経て成貝まで成長します。

「天然栽苗」から「中間育成」を経て、殻長が6センチを超える稚貝・種苗~新貝の頃になると「垂下養殖」「地まき増殖」などが行われます。
そして殻長が10センチを超える頃には、収穫・出荷・販売され皆様の食卓へ届きます。(上図参照)

栄養と特性

自然に育てられたほたて貝には、蛋白質、脂肪、カルシウム、ビタミン、糖質、鉄分、リンその他のミネラルなどたくさんの栄養成分が含まれています。
特に貝柱の主成分としては蛋白質で、含有量は魚肉蛋白質標準量(20±2)に匹敵します。これは、たいら貝、はまぐりに比較しますと倍量多いということです。それに比べて脂肪量は非常に少なく、あっさりした味覚でうま味の多い貝と言えるでしょう。

その他栄養効果の期待できる成分はビタミンB1とタウリンというアミノ酸です。ビタミンB1は「心臓と神経のビタミン 」と呼ばれ、神経や心臓に影響力の大きなビタミンです。又、タウリンは目や脳の発達を助け、その他コレステロール(LDLコレステロール、悪玉コレステロール)を減らす効果があり、血圧を下げる働きがあります。

蛋白質はプロテインスコア66で、あまり蛋白価は高くありませんが低脂肪の食品で消化もよく動脈硬化防止にもつながるこれからの健康食品です。又、最新の研究(青森県産業技術開発センター)によると、ほたて貝のグリコーゲンがガンを抑制することが発見されています。

ほたてがいの栄養と特性(可食部100g中)

生むき身生貝柱干し貝柱
エネルギー77 kcal105 kcal325 kcal
水分81.2 g74.5 g17.8 g
タンパク質13.8 g20.8 g63.7 g
脂質1.2 g0.8 g2.6 g
糖質1.8 g2.4 g7.6 g
灰分2.0 g1.5 g8.3 g
カルシウム49 mg11 mg35 mg
リン170 mg75 mg250 mg
1.0 mg0.4 mg1.3 mg
ナトリウム250 mg220 mg2300 mg
カリウム310 mg360 mg960 mg
ビタミンA(カロチン)1.5 μg
ビタミンB10.02 mg0.04 mg0.12 mg
ビタミンB20.29 mg0.10 mg0.30 mg
ナイアシン2.1 mg1.4 mg4.6 mg
ビタミンC1 mg3 mg0 mg
塩分0.6 g0.6 g5.8 g